16.May.2006~22.May.2006
17.May.2006
何百年も受け継がれる住まいの風格
例年通りフランクフルト国際空港から研修がスタートしました。まず初めに訪れたのはストラスブール(フランス)。ドイツとフランスの国境に位置し、両国の間で戦争により5回も国境が変わる複雑な歴史を持つアルザスの人々の街。ラテン・ゲルマン両文化を融合させた独特な風土と、開放的で調和を重んじる風習が、独自の伝統・文化を育んできました。ドイツ国境のライン河まで4kmという、二文化の混在地域であることから、独・仏二カ国語を常用語として使用していますが、今回の研修で訪れたところでは殆どフランス語が話されていました。ストラスブールでの一番の見所は'プティット・フランス'。フランスの中世の街並みがよく保存されている地区で、16世紀から17世紀のアルザス地方の典型的な建築技法である木組みや切妻など、この地方独特の様式の家々が並んでいました。 何十年、何百年もメンテナンスを施し、受け継がれてきた住まいは堂々とした風格を備えていました。
ストラスブールから70㎞南のアルザスエコミュージアムに向かう途中でコルマール(フランス)に立ち寄りました。
「アルザス・ワイン街道」のほぼ中間に位置し、「アルザス・ワインの首都」とも呼ばれている街で、パステル調の木組みの家並みが運河の水に映え、イタリアのヴェニスを彷彿とさせることから「プティット・ヴェニス」と呼ばれる地区があります。
戦禍を免れた古くからの住宅が今でも使われており、伝統的な建築技法を見ることが出来ました。
昼食のために立ち寄ったので時間をかけてじっくり見ることはできませんでしたが、ストラスブール同様に、古き良き資産を後世に受け継ぐため、大事にしているという人々の想いが伝わってきました。
次に訪れたのがアルザスエコミュージアム(フランス)屋外にあるテーマパークのような施設で、古民家が各地より移築され、保存されていました。
昔ながらの農業施設や器具、暮らし方などを肌で感 じることのできる施設でした。木組みに土壁を施した昔ながらの築や、木組みの構造などを見ることができました。
18.19.20.May.2006
有名建築家のデザインを探る
今回の研修の大きな目的の一つのロンシャン(フランス)を訪れ、有名な建築家ル・コルビュジェの建築作品の中でも傑作といわれている教会の礼拝堂を見学しました。
これまでの教会建築の形態範例とは全く違い、当時の建築界にはかなり衝撃的だったと思われます。この造形を、(方舟)と定義し、丘の上の立ち姿を含めて(漂着した方舟)と解したといわれています。
建築を志した人のほとんどが知っている有名な作品です。教科書でも紹介されている建築作品を見ることができ、創造する事の楽しさを実感できました(詳しくは次号にて)。当社の事務所にも掲示してあるポスターで有名なヴィトラデザインミュージアム(ドイツ) はヴィトラ社オーナー所蔵の椅子のコレクションを展示している博物館です。見学はツアー形式で行われ、私達以外にドイツ人の見学者が参加していました。
敷地内にある各建物自体が有名な建築家が設計しており、ミュージアムはフランクО.ゲーリー、椅子の展示がある消防ステーションはザ・ハディト、セミナーハウスは安藤忠雄と、1箇所でさまざまな建築家の技法を見ることができました。 また、安藤忠雄の建築にツアーに参加していたドイツ人達も深い興味を示していたことに、海外における日本人建築家の活躍を実感することができました。 ヴァイセンホーフ・ジードルンク(ドイツ) ル・コルビュジェ&ピエール・ジャンヌレ、J.J.P.アウト、ミース・ファン・デル・ローエなど著名な建築家たちが約80年前に建築した集合住宅郡も見学しました。デザイナーズマンションのルーツともいえるでしょう。
19.20.21.May.2006
環境共生と住宅展示場
フライブルク(ドイツ)は世界的に環境共生都市として有名な街で、日本の都市でも参考にしているそうです。 ドイツは元々資源を無駄にしない、物を大事にする国民性で、リサイクルやエコロジーに対して関心と意識を強く持っています。その中でもモデルとされているフライブルクは、これからの暮らし方を提唱する街でした。
今回の住宅展示場(シュツッツガルト&フランクフルト/ドイツ)の見学で、これまでの研修も合わせると、ドイツで6つある大規模住宅展示場のうち5つを訪れたことになります。展示場での家具や小物のレイアウトは、どの角度から写真を撮っても絵になることから、演出技法のレベルの高さを実感させられました。
今回で3回目となったドイツ研修ですが、年々自分自身の見る箇所が変わり、新たな視点で見ることができました。また、その中で吸収してきた事を今後の提案に反映していきたいと思います。
受け継がれる「エコロジー」
今回で私は2回目のドイツ研修ということで、落ち着いてじっくりと街並みを観察してみることにしました。
今回の研修では、2箇所の大きな住宅展示場の見学と、ドイツ風情を代表する街並み散策がメインとなりました。
ドイツという環境共生先進国を肌で感じること、どういったところがエコロジーなのか、今後我々が進むべき指針としての「エコロジー」をキーポイントとして、ご紹介していきたいと思います。
やはり何度訪れても、ドイツの街並みは「素敵」の一言。住宅展示場の個々の家はもちろん、木組み建築の街並みや、郊外の田舎風の住宅ですらしっかりと"デザイン"が施されています。デザインがしっかりとしているので、お互いを引き立たせながら地域の街並みを形成しているのでしょう。
ドイツ人独特のデザインへのセンス、このセンスが当たり前のように代々受け継がれていくことが、モノを大切にする心に通じるのではと、思えてなりません。
最近テレビ・雑誌・インターネットで、なにかと目につく「LOHAS※1」。アメリカで生まれたライフスタイルの造語です。
実はドイツの生活もとっくに LOHASを実践しており、あたりまえにLOHASを送っています。あえて意識することなく、無駄のない等身大・最小限の生活を送ることが、エコロジーにつながると知っているのです。「LOHASを実践しています!」なんて言ったら、ドイツ人の前では、ちょっぴり恥ずかしくなってしまいます。(笑)
※ 1「LOHAS」とは Lifestyles of Health and Sustainability の頭文字をとった略語で、健康と環境、持続可能な社会生活を心がける生活スタイル「LOHAS」ローハス(ロハス)のことです。
ファサード
木組みの建物で有名な町を数カ所散策しました。「ヨーロッパの建築」というか「建築」を見て常々思うこととしては、しっかりと規則正しいファサードをしているという所が挙げられると思います。ドイツではそれが住宅にも及んでいるのが印象的です。
基本としては外窓が規則正しく並んで揃っている。それは面白いようにきれいに並んでいます。実際は間取り等の影響もあるのでしょうが、暗黙の基本ルールがそこにはあります。
家のつくりとして紐解いていくと、窓が揃っているということは構造的にも無理が掛かってない事になります。こんな所にも「エコ」が見え隠れしています。
また、なんといっても建物の色使いがオシャレ。建築材料的な要素によるところもあると思いますが、石灰・煉瓦・木など自然の風合いが、ごく当たり前の色。少し古ぼけたグレーイッシュな色彩で町は埋め尽くされています。庭木や木製のフラワーボックスを彩る花々もこういった建物だからこそ映えると再確認。
住宅展示場での話では、地域によって屋根の勾配の規制もあり、展示場も大屋根の建物が多く目につきます。これは雪対策とのことでした。
雪は落ちると危ないので、雪止めを設けて雪を屋根に留めておくのが私達仙台での感覚。ドイツのある地域では、雪を屋根に留めないように既に屋根の勾配をきつくしてあるとのことでした。この大屋根スタイルの外観はとても格好良く、同じく雪降り地域としては、是非このスタイルを広げてみたら面白いのではと感じます。
展示場で過ごす休日
ドイツの住宅事情は、日本同様に地域のビルダーに依頼するか、住宅展示場で気に入った家を選んで、実際近いものを建てるのが主流とのことです。
以前のツーベア通信の記事でもご紹介しましたが、基本的な躯体を購入し、床・壁・天井などの内装をはじめ、いろいろな部分を自分でつくり上げていくことが多い様です。住宅展示場は家具・小物まですべてコーディネートされ、これから家をつくる人たちの良い参考になっていました。
私達が展示場を見学したのが土日だった為、展示場は若い家族連れや、親夫婦を従えた新婚夫婦、カップルなど、大変混み合っていました。この展示場は、入場料を払って中に入り、ピクニックや公園散歩の感覚で来ている人達もいるとのことでした。 70棟もある展示場ですから、とても一日ではすべて真剣に見てまわれません。ここにいる人達は、近い将来、休日は庭をいじりながら、ゆっくりと家づくりを楽しむのを夢見ているのか、などと想像しつつ、微笑ましい気分に浸ることが出来ました。
ただ単に消費する社会を形成するのではなく、自分の手で何かをつくる、工夫し考えながら、自分自身のライフスタイルを実現していくという姿勢と、個々に環境を考えることで、本当の意味でのエコロジーが実現できるのではと思います。
まさに環境先進国にふさわしく、羨ましいライフスタイルがそこにありました。
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