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ドイツ住宅から学ぶ温故知新
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文/写真・石母田 秀隆(マザー企画事務所)

長時間の移動、ドイツ到着 


現地時間の16時ごろフランクフルト国際空港到着。12時間の空路による移動を終え、ようやく私はドイツの地を踏んだ。ツーベアホームの事務所を出発して 17時間の移動は、いくら体力に自信があった私でもさすがにこたえた。息つく間もなくバスに乗り、馴染みのない右側通行のアウトバーンを北上して行く。長旅を終え19時ごろに一日目の宿泊先デュッセルドルフのホテルに着いた。その夜は久々の長距離移動のせいか、不覚にも夕食途中で寝てしまった。


大規模な住宅展示場に一同驚愕

19-1.jpg  50数棟のモデルハウスが立ち並んでいる住宅展示場のスケールの大きさに一同驚愕した。ここまでの規模の展示場は初めてみる大きさだ。
展示場内は斬新なデザインのさながら異種格闘技戦。各ハウスメーカーの得意としているデザインばかりだ。大屋根、北欧風、モダン、ドイツスタイルなどひとつひとつが強調しあい、他社には負けないデザインで勝負しているという感じである。中に入っても断熱模型や設備機器のモデル、外観カタログなどお客様の関心を引きそうな資料を揃えていた。また、こちらの質19-2.jpg問や要求に快く対応してもらい、ドイツの住宅事情も教えていただいた。本当に感謝したい事ばかりだった。





ドイツの街並み、文化に触れ

19-3.jpg ハンブルグ郊外にあるStade(シュターデ)という街は、1000年の歴史を誇り、中世の雰囲気漂う人口約5万人の小さな美しい街である。旧市街地には 17~18世紀のレンガ造りや木組みの家が並び、狭い曲がりくねった街路は中世のロマンを感じさせる。Haheln(ハーメルン)という歴史ある街にも訪れた。ハーメルンと言えば「ハーメルンの笛吹き男」の話が有名である。街角には看板やねずみのキャラクターがあちこちにあり、実際に笛吹き男が子供たちを連れて歩いた道の上には、ネズミの絵が描いてあった。この話は童話だと思われがちだが「実話」らしく、そのためか、今だにメイン通りでは音楽を奏でることが禁止されているとの事

19-4.gif ブレーメンは、童話「ブレーメンの音楽隊」としても知られる街である。また、ハンブルグに次ぐ第2の港町でもある。ブレーメンではルネサンス様式かつレンガ造りの商工会議所や、2本の塔がそびえ立つ「聖ペトリ教会」はマルクト広場のシンボルにもなっている。ブレーメンには当時の繁栄の様子を物語る歴史的建築物が立ち並び、マルクト広場にある市庁舎とローランド像はユネスコの世界文化遺産に登録されている。文化的な街に触れ、行く場所、行く場所全てに感動した。
なんといっても街1つが何百年と造り上げてきた芸術作品の様だ。木組みの建物の外観はそのまま残し、中身はとても近代的でモダンな仕様にリメイクする。そういった考え方が街全体の形を変えないようにこだわっている結果なのだ。私もこういった「古きを知り、新しくを知る」考え方が学べた良い機会だったと思う。この経験を仕事に大いに活かしてより良い住宅を提供していきたい。

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今回で2年目の企画となったツーベアホームのドイツ研修であるが、全旅程に参加しているのは私一人である。というのも、以前ドイツに2年半住んでいたという経験と、現地にアテンドしてくれる友人がいるので、研修日程の企画を任せているためである。ドイツ在住時は全く別の仕事で赴任していたため、建築事情についてはまだまだ勉強中であるが、在住中には気づかなかった事や、すでに「普通」と思っている事が日本では珍しいことであるとの再認識など、研修の度に新たな発見がある。
昨年は2班に別れ、ドイツ中東部~オーストリアにかけてのコースであったが、今年は北ドイツを中心としたコースをとった。(前ページ地図参照)


セルフビルドでコスト削減


一般的な展示場は日本にもあるようなハウスメーカー各社が総合展示場に出展するというスタイルであるが、中には1つの団体がいろいろなタイプの間取りを紹介するスタイルもあった。夢を膨らませ、理想的なスタイルを提案するという意味で、豪華な仕上げと装飾がなされた展示場が殆どであるが、実際は仕上げを全くせず、躯体のみ(シャーシー)の形で引渡しをする方式が一般的である。照明やカーテンなども取り付け、鍵を渡してもらえばすぐにでも生活できる状態での引き渡しを行う形(シュルッセルフェアティッヒ)は少ないのが現状である。ドイツのDIYセンターには豊富な種類の工具や製品があり、資材調達には困らない。セルフビルドの一番のコストの削減である。自分で出来るところは自分で、すぐに必要でない部分は後でと、費用のかけ方も厳選し、また、自分の家を思い通りに作り上げていく楽しみもある。堅実で見栄を張らないドイツ人らしい考え方である。


 電気の検針は年1回のみ


19-7.jpg ドイツに住んでいた頃はアパート暮らしだったので見る機会がなかったが、ドイツの住宅では電機の計量メーターは地下室や家事室などの屋内の目立たない場所にある。日本では屋外に設けるのが殆どだが、ドイツでは地中から宅内へそのままケーブルが引き込まれる。メーターが屋内では検針が大変だろうと思われるが、検針は年に1回のみで、毎月の電気料金は前年度の実績から12分割され、支払いを行う。検針の結果、支払額との精算作業(源泉所得税の年末調整のような仕組み)が行われ、過払い分は返金される仕組みだ。検針係の人件費が削減されることと、年間の電力消費量や前年との比較ができ、省エネに対する意識が強まる事がメリットと思われる。しかし、アパートなどで居住者の変動の多い住宅では、精算が1年に1回と限られるため精算月直後に引越しを行うと、その精算が約1年後になってしまうので、面倒である。


興味が沸いた住宅提案手法


19-8.jpg 住宅展示場でアパレルブランドとのコラボレーション企画の住宅があり、インテリアデザイナーのアイデアとセンスが活かされたライフスタイルの提案があった。真っ白な空間に赤や黒の差し色を加え、木とガラスのメタルの異素材の組み合わせがモダンな印象を醸し出す。子供室は子供らしさが溢れるソフトカラーのやペイントで甘くまとめる。ベースカラーとアクセントカラーの使い方と日本では見かけないインテリア小物の配置や照明が住まいに彩を添えており、今後の提案に活かせる部分が多かった。


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