| ドイツ住宅に学ぶ |
文と写真・石母田 秀隆(マザー企画事務所)
クロンベルクの町で幸い補修中の木骨の家を見つけることができた。壊すことを考えないドイツの人は補修して長く使う。写真でも分かるように中にはレンガが積み込んであり、その上に外壁を塗り上げる。したがって補修に次ぐ補修の家は外壁部が木骨より外に張り出している。これでまた、ホントに79年?と考え込んでしまった。さらに幸いなことに、建築中の住宅にも数多く出会った。その中で、躯体は専門会社が施工したものの、その後はセルフビルドというおじさんに建築中の家の中に招き入れられた。「いつ完成するの?」「そうね、来年かな」いやはやなんとも気の長い話しだ が、そこは施工過程を楽しんでいるとのこと。引っ越していなのに、近所の人とは仲良く挨拶を交わしている。「ほらっ、ここに上がってよ。ここは吹き抜けにするんだ。そして2階からの眺め、見てごらんよ絶景だろう、大パノラマだよ」と一面麦畑が広がる遠景を誇らしげに紹介してくれた。「何人で住むの?」「家内と二人で。でも子供二人も遊びには来るだろうね。なにせパノラマだから」とビューの良さと家族の絆を重ね合わせていた。 都市部の住宅地を離れ、アウトバーンを走る専用車の車窓から眺める景色と街並みの美しさは何度見ても素晴らしい。先を急ぐ予定を変更し田舎道に入る。そこは期待した住宅デザインの宝庫だった。大屋根あり、切妻屋根あり、クラシックもモダンもある。それでも景観に異型の不釣合いはなく、調和というより融合というべきか。パブリックスペースの植栽の豊富さと各戸ごとの造園が住宅にさらに彩りを添える。借景を相互に楽しめる環境は実に羨ましい。
レクチャーに続き、氏の設計になる3軒の住宅を見学した。始めのメゾネットタイプの集合住宅は 比較的新しい住宅地に建築されたもので戸建住宅と集合住宅が隣接していた。それにしても西洋芝(当地ではそう呼ばないが)の手入れのよさには驚く。草高が5cmほどあったが日陰になる根元が黄色にならず青々としている。玄関前の植栽もテラコッタの鉢に上手にデコレートされ、住戸ごとに並ぶとまるで園芸店にでもいるような錯覚を起こしてしまう。「ドイツの国民みんなが花好きなのですか?一人くらい関心のない人がいるでしょう」という筆者の疑い深そうな問いにギッター氏は「いや、お住まいになる方はみんな庭づくりも生活になっているのです」と笑って返答してくれた。2007年に仙台で住宅に関する国際会議が開催されることを告げ、ギッター氏とは再会を約束して次の目的地に足を運んだ。
デザインの傾向は開口部を大きく採るモダンスタイルが大勢を占め、中には外壁がほとんどない住宅もあり一同を驚かせた。「そんな影響は受けていない」と返答されたが、あきらかに日本住宅のデザインからの影響を感じるものも多数見られた。それにしても40棟以上を丁寧に見て周るのは時間がかかる。ちょうど休日にあたったオーストリアのザルツブルク近くの住宅展示場は、日本の光景同様に多くの家族連れが来場していたが、観察していると外観印象で判断しているらしく飛ばしながら見学していた。展示場見学にエネルギーを費やすのはどこの国も同じのようだ。
文と写真・大谷 啓一(パーマカルチャーデザイナー ブルーベルプランニング)
今回の研修では主に世界遺産の街並みやハウスメーカーの展示場、一般住宅地、高級住宅地などを見学してきた。仕事柄まずはハウスメーカーの展示場のお話からしていきたい。多くのハウスメーカーでビオトープを採用していた。日本では管理やメンテナンスの問題 で考えられないことである。ビオトープには循環式ポンプを取り入れ、絶えず水を動かすことで水の淀みを防ぐ試みをしていた。防水にはゴムラバーシートを池底に使用しその上に石や土や植物を配置し自然な生態系を作り上げていた。魚を飼っていた所もあり、より自然な状態に近づけていた。デザイン的にはイングリッシュガーデン風もあればコニファーガーデンやシェードガーデンもあり、特にドイツガーデンといった特徴を見受けないことに驚く。また写真を見ても分かるようにジャパニーズガーデンの影響を受けた庭も多く見られた。 しかしハウスメーカーの担当者に聞いてみたところ、ジャパニーズスタイルではないと言う。ドイツ人は何々風ではなくて、常に自分らしさを考えているのだろう。そんなところがまた気持ちがいい。私たちも常に自分らしさを考えて物を作っていきたい。 次に一般住宅地のお話をしたい。日本の住宅地に比べていろいろな外構デザインが存在する。しかしそれが町としてのオリジナルの美しさ出している。イギリスやニュージーランドのように全てがお花畑といった感じではない。ロックガーデンもあればリーフガーデンもある、ローズガーデンもあればハーブガーデンもあった。 ![]() しかし共通していえることは全ての住民が本当に楽しんでガーデニングをしていることだろう。日本では週末家族で外出し過ごすことが休日のあり方とされているが、ドイツでは家族で家のメンテナンスやガーデニング作業をして生産の週末を迎えることが幸せとされている。家並み街並みはそこに住んでいる人々のライフスタイルで作られていくのだろう。 今回偶然に一軒の民家のガーデニングを取材することができた。取材した内容は数多くあるが今回はコンサバトリー(サンルーム)ガーデンのお話をしたい。ドイツの冬は雪こそ少ないが気温は氷点下20℃を超えることもあるほど寒く長い。そのため家の一部にサンルームをデザインしている。構造的には家の一部だが役割としては家と庭の中間の位置にある。サンルー ムから見る庭は最高に気持ちがよく、また庭からの出入りもスムーズである。家だけではなく庭全体のデザインが良く考えられていた。ペアガラスを使用しているため保温性に優れ、木質をフレームに使用していて見た目にも美しい。一年を通じて家での生活を楽しんでおりなんとも羨ましい限りである。このお宅は循環型の空間デザインであるパーマカルチャーという考え方を取り入れているようだ。私も環境共生と循環型デザインをテーマに今後も住宅地のデザインに取り組んで行きたい。
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観光は一切なしの今回のドイツ住宅研修。ご当地の建築家に会い、住宅展示場を取材見学し、住宅地を自分のペースで周りながら、できれば普通のお宅訪問も叶えたい。そんな欲張った計画だったが所期の目的を全て果たすことができた。
クロンベルクの町で幸い補修中の木骨の家を見つけることができた。壊すことを考えないドイツの人は補修して長く使う。写真でも分かるように中にはレンガが積み込んであり、その上に外壁を塗り上げる。したがって補修に次ぐ補修の家は外壁部が木骨より外に張り出している。これでまた、ホントに79年?と考え込んでしまった。さらに幸いなことに、建築中の住宅にも数多く出会った。その中で、躯体は専門会社が施工したものの、その後はセルフビルドというおじさんに建築中の家の中に招き入れられた。「いつ完成するの?」「そうね、来年かな」いやはやなんとも気の長い話しだ
が、そこは施工過程を楽しんでいるとのこと。引っ越していなのに、近所の人とは仲良く挨拶を交わしている。「ほらっ、ここに上がってよ。ここは吹き抜けにするんだ。そして2階からの眺め、見てごらんよ絶景だろう、大パノラマだよ」と一面麦畑が広がる遠景を誇らしげに紹介してくれた。「何人で住むの?」「家内と二人で。でも子供二人も遊びには来るだろうね。なにせパノラマだから」とビューの良さと家族の絆を重ね合わせていた。
都市部の住宅地を離れ、アウトバーンを走る専用車の車窓から眺める景色と街並みの美しさは何度見ても素晴らしい。先を急ぐ予定を変更し田舎道に入る。そこは期待した住宅デザインの宝庫だった。
ター氏がレクチャーをしてくれた。ツーベアホームの住宅性能は極めて高い水準をもつが、それは数値を求める技術的な目的ではなく、暑さ寒さなどの厳しい自然環境においても快適に居住できる、いわばパッシブ住宅の思想である。その思想においてギッター氏と合い通じるところが非常に多かった。
比較的新しい住宅地に建築されたもので戸建住宅と集合住宅が隣接していた。それにしても西洋芝(当地ではそう呼ばないが)の手入れのよさには驚く。草高が5cmほどあったが日陰になる根元が黄色にならず青々としている。玄関前の植栽もテラコッタの鉢に上手にデコレートされ、住戸ごとに並ぶとまるで園芸店にでもいるような錯覚を起こしてしまう。「ドイツの国民みんなが花好きなのですか?一人くらい関心のない人がいるでしょう」という筆者の疑い深そうな問いにギッター氏は「いや、お住まいになる方はみんな庭づくりも生活になっているのです」と笑って返答してくれた。2007年に仙台で住宅に関する国際会議が開催されることを告げ、ギッター氏とは再会を約束して次の目的地に足を運んだ。
てます」という国際的に展開している会社もあることだった。住宅デザインは競合する他社を意識してか、独自性を強調する建物が多く見受けられた。これは日本の住宅展示場も同様だ。同様といえば、日本でよく見かける2階での構造模型などによる説明だが、やはりドイツにもあった。写真のように断熱材の有効性を説く会社もあれば、壁厚で差別化を訴求しているところもあった。屋根断熱の構造を丁寧に説明してくれる会社もあり、日独の違いがないと感じた一瞬だった。「ドイツの人はエネルギー問題に関心が高いといわれますが、このような断熱技術などにも来場者の関心は高いのですか?」「また、そういうことを伝えるのにどのような苦労がありますか?」との筆者の問いに「当社の断熱工法などはお勧めなのですが、理解していただくには常に苦労しています」の返答にも日本と変わらぬ状況を再び垣間見た。
宅では空気質の保全と換気量の低減に効果があることからほぼ100%まで採用率が高まった。筆者は3年前の訪独でもキッチンメーカー数社に取材経験があるが、そのときは福祉介護機器展示会場だったので高齢者向け厨房についての取材だったが、やはり安全性を強調していた。それにしてもあの平面だけの限られた中で、どうしてこんな多彩なデザインができるのかと、プロダクトデザインの妙に感心した。

の存在があった。ギッター氏の話のなかで「ローエナジー住宅を注文する建主は、エコロジーへの意識の高い人々だ。」という話があった。壁の仕上げに塩化ビニールクロスを使わず自然素材クロス、珪藻土を使用する。床のフローリングに有害な接着剤を使った合板を使用せず無垢材の、それもオイルフィニッシュや植物性塗料で仕上る等、住宅を、エコロジーを意識して建てようと考えると建築コストがどうしても高くなってしまうのが現状ではないか。しかし、エコロジーを考えた住宅は地球環境に対する負担を少なくする。屋根の上に植物を植えたルーフトップガーデンを始め、冷暖房方法も独特である。
朴なシーツをレールのクリップで留めただけのシンプルスタイル。さすがドイツ!ダイニングにはマルセル・ブロイヤーのチェアーが並び、組み合わせてあるガラスのダイニングテーブルはなんと奥様の手作り。照明器具はドイツでは多く見られるワイヤー可動式のもの。照明器具選びも多くの家庭でドイツならではのコーディネーションをしており、日本では通常リビング・ダイニングとつながっている部屋があれば"シリーズ物"で揃え、安心するところだがそこが少々違う。その生活シーンに合ったお気に入りの照明器具を好き勝手に取付けている。部屋全体を見渡すとバラバラと思いきや、絶妙にセンス良くまとまっているのが不思議である。
イツの環境共生に関するランドスケープ技術の高さや、循環型社会の実践には感心すべきところが多い。ビオトープはもとより、ルーフトップガーデンやウォールガーデンも街中にあふれていた。それもイギリスなどのように作りこまれておらず、昔から自然とそこにあるような不思議な空間になっている。昔からの建物を守り、なお且つそこに新しい空間を作るドイツの懐の深さに今後も学ぶことは多いだろう。
で考えられないことである。ビオトープには循環式ポンプを取り入れ、絶えず水を動かすことで水の淀みを防ぐ試みをしていた。防水にはゴムラバーシートを池底に使用しその上に石や土や植物を配置し自然な生態系を作り上げていた。魚を飼っていた所もあり、より自然な状態に近づけていた。
ムから見る庭は最高に気持ちがよく、また庭からの出入りもスムーズである。家だけではなく庭全体のデザインが良く考えられていた。ペアガラスを使用しているため保温性に優れ、木質をフレームに使用していて見た目にも美しい。一年を通じて家での生活を楽しんでおりなんとも羨ましい限りである。このお宅は循環型の空間デザインであるパーマカルチャーという考え方を取り入れているようだ。私も環境共生と循環型デザインをテーマに今後も住宅地のデザインに取り組んで行きたい。